Linuxサーバーの保守やディスク移行では、インストールメディアとは別に「レスキュー用のLive ISO」を持っておくと便利です。
今回は代表的なレスキューISOを比較し、以下のような用途に適したものを整理しました。
- 障害時のデータ救出
- パーティション編集
- バックアップ・リストア
chrootによるシステム修復- Anacondaを使わないRocky Linuxの手動インストール
- ファイルシステム変更(ext4→XFSなど)
主なレスキューISO
| ISO | ベース | 特徴 |
|---|---|---|
| SystemRescue | Arch Linux(旧Gentoo) | 最も多機能な総合レスキュー環境 |
| Rescuezilla | Ubuntu | GUIによるバックアップ・復元 |
| Clonezilla Live | Debian(Ubuntu版あり) | ディスクイメージ・クローン専用 |
| GParted Live | Debian | パーティション編集に特化 |
| Rescatux | Debian | ブート修復・GRUB修復 |
| Finnix | Debian | 軽量CLIレスキュー |
| KNOPPIX | Debian | 汎用Live Linux |
| Ultimate Boot CD | ツール集 | ハードウェア診断向け |
ベースディストリビューション
意外にも、多くのレスキューISOはDebian系です。
| ベース | ISO |
|---|---|
| Arch | SystemRescue |
| Debian | Clonezilla、GParted Live、Rescatux、Finnix、KNOPPIX |
| Ubuntu | Rescuezilla、Clonezilla Ubuntu版 |
SystemRescueは以前はGentooベースでしたが、現在はArch Linuxベースになっています。そのため比較的新しいカーネルやデバイスドライバを利用できます。
ISOサイズ比較
現行版のおおよそのISOサイズを比較すると次のようになります。
| ISO | サイズ |
|---|---|
| Clonezilla Live | 約573 MB |
| Finnix | 約577 MiB |
| GParted Live | 約649 MB |
| Rescatux | 約690 MB |
| Ultimate Boot CD | 約803 MB |
| Rescuezilla | 約1 GB |
| SystemRescue | 約1.3 GB |
| KNOPPIX DVD | 約4.4 GB |
サイズだけを見るとClonezillaやFinnixは非常にコンパクトですが、その分用途は限定されます。
ユースケース別比較
1. Anacondaを使わずにRocky Linuxをインストールしたい
例えば以下のような手順です。
partition
↓
mkfs.xfs
↓
mount
↓
dnf --installroot=/mnt
↓
fstab作成
↓
grub-install
↓
dracut
この用途では必要になります。
- GPT/MBR操作
- mkfs
- mount
- chroot
- grub-install
- efibootmgr
- rsync/tar
これらを一通り備えているのが SystemRescue です。
2. rootfsをバックアップして別のファイルシステムへ移行したい
例えば
- ext4 → XFS
- ext4 → Btrfs
- Btrfs → XFS
のような移行です。
SystemRescueには
- tar
- rsync
- fsarchiver
- ddrescue
- xfsprogs
- btrfs-progs
- e2fsprogs
などが収録されているため、
tar cpf backup.tar /
や
rsync -aAXH
でバックアップし、新しいファイルシステムへ復元できます。
3. chrootしてdnfやaptを使いたい
例えば
mount /dev/sda2 /mnt
mount --bind /dev /mnt/dev
mount --bind /proc /mnt/proc
mount --bind /sys /mnt/sys
chroot /mnt
その後は通常通り
dnf update
grub2-install
dracut
passwd
などを実行できます。
この用途は
- SystemRescue
- Finnix
のどちらでも快適です。
各ISOの向き・不向き
| 用途 | おすすめ |
|---|---|
| 総合レスキュー | SystemRescue |
| ディスクコピー | Clonezilla |
| GUIバックアップ | Rescuezilla |
| パーティション編集 | GParted Live |
| CLI中心のサーバーメンテナンス | Finnix |
| ハードウェア診断 | Ultimate Boot CD |
ClonezillaやRescuezillaはイメージバックアップには非常に優秀ですが、システム構築やchroot作業にはあまり向きません。
逆にSystemRescueは「Live Linux」として使えるため、通常のLinux環境に近い感覚で保守作業を行えます。
結論
私の用途では、
- Rocky Linuxを手動でインストールする
- rootfsを別ファイルシステムへ移行する
chrootしてdnfやgrub-installを実行する
といった作業が多いため、SystemRescueが最も適しているという結論になりました。
一方、
- とにかく軽量なCLI環境が欲しいなら Finnix
- SSD換装やディスクコピーなら Clonezilla
- GUIでバックアップしたいなら Rescuezilla
というように用途ごとに使い分けるのが良さそうです。
参考資料
- SystemRescue 公式: SystemRescue
- Clonezilla 公式: Clonezilla Live
- Rescuezilla 公式: Rescuezilla
- GParted Live 公式: GParted Live
- Finnix 公式: Finnix
- Rescatux / Rescapp: Rescatux
- Ultimate Boot CD 公式: Ultimate Boot CD
- KNOPPIX: KNOPPIX